大学院白書。

2007年9月29日
考え事の日。

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iuがよく見るサイトに“/.”とか“GIGAZINE”なんていうのがあります。

両方とも理系の人が好きそうなサイトになっていて,前者はニュース+掲示板的なもの,後者はニュースサイト的なものでしょうか。

ここ数週間,この2つのサイトで大学院の博士課程に関する話題が散見されたので今日はちょっと考え事。

東大、博士課程の授業料を実質ゼロ化: http://slashdot.jp/articles/07/09/29/2348208.shtml
フランスでは博士課程の学生500人を企業に派遣: http://slashdot.jp/articles/07/09/23/2251259.shtml
OECD加盟国の大学の進学率と卒業率: http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20070920_university/

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やっぱり,諸外国の大学院事情に比べて日本の大学院事情は少し変わっているみたいですね。

現行の日本の大学院制度はとっくに耐用年数を超えてしまっているけれど,どうしようもないのでそのまま走ってる感じなのでしょうか。人工衛星ひまわり5号に似てるかも。

そんなわけで現役の博士課程後期学生のiuから見た「ここが変だよiuの在籍する大学院」箇条書きスペシャル。

(日本のいわゆる4年制大学に所属したこともない,海外に留学したこともないiuなので,的を射抜けるかどうかは別です(笑))

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1.博士前期課程(修士)なら研究してなくても学位は取れる。+++++++++++++++++++
iuのいる学校自体,そして研究科は余り類のない特殊なモノなので仕方ないかもしれませんが… とりあえずナニもして無くっても学位が取れちゃうようです。

iuがみたって“そりゃ無いよ?(´□`lll)!”と思うようなものもごろごろと。高校生のコンピューター部の少し優秀な子なら1週間くらいでまとめられそう…。

それすら出来ない人もM3,M4(M=マスター=修士,通常は2年で修了)まで頑張ると,なぜか学位を取って出て行けます。

ここを厳しくしないと,頑張ってる人のやる気はそぐし,企業の方の良く言う「大学院生は使えない」の実例を増やすばかりになってよろしくないかと。

「学校推薦で就職が決まってる学生を落とすと,次年度の募集が…」とか,“そんなの関係ねぇヽ(`Д´)ノ”

え?iuが審査員になったときにひとりだけそう言う判断が下せるか??
ごめんなさい(TーT) しがらみってめんどくさい…
 

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2.返済不要の奨学金が少ない
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学振もとれなかったiuが言うのはどうもアレですが。
日本の奨学金は実質ローンでしかないというのがどうも。

iuのトコロなんかは修士が上述のような状況なので博士後期課程も2極化がはげしく(上位と下位でなくて,普通と下位の2極ですが…),従って東大みたいに全員無料!なんてあり得ないし,やってはいけないと思いますが…

日本全国の全大学院生の上位2〜3割くらいには何かあっても良いかなぁと。
え?それが学振ですか。そうですか,そうですね(^皿^;)
がんばります…

まぁiuの学校は格安の寮も完備されているだけましか…
 

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3.修士の学生の2年の就学期間のうち,半年は就活 
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普通の大学なら学部できちんと研究していた方はそれでも大丈夫かなと思うのですが。

iuの学校は事情が特殊で,大学院で取り組む研究は学部とは無関係なモノがほとんどです。従って最初の半年は研究ではなく,講義なんかのお勉強を受けるわけですが…

そのお勉強期間の後はすぐ就活。就活が終わるとする中間審査で,1週間かそこらで考えたネタをそのまま発表。酷評を受けて落ち込み,暫くお休み。最終審査間近に頑張りだす(ここでの“頑張り”とは主に,助教の先生に「これこれのシステムを作ってください!」と泣きついて,先生がうんと言うまで退かないことを意味します。)

という流れになるので,1.に挙げた状況と合わせて「大学院の意味はあるのかな?」と不安になります。(あ,これはiuのここ2〜3年の後輩さん達についてだけのことで,ちゃんとやってる研究室,ちゃんとやってる人はちゃんといますよ!)

先日,経団連かなにかもこの件に関して声明を出していましたね。
良い流れと思います。

大学院としてもきちんとした研究計画書を提出して先生方の認可を得ない限り学校推薦などの認可を出さないとか対策を講じた方が良いのかなぁと思います。
 

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4.在学生の半分が大陸の方 
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国際化という意味では悪くはない…というか大変よいことだと思うのですが,あまりに同じ人種の方が多すぎてコミュニティが出来てしまい…

結局研究室の雰囲気にとけ込めず,バイトに注力してしまって研究室で全然見かけない方が多いのも問題です。

プレゼンの質疑でもちょっとキツイ質問が来ると「言葉/意味がよくわからない」「文化の違い」などといって逃げるもの問題。

日本語が流暢な方は比較的出席率もよく,真面目なのですが…。

この辺は日本人がアメリカの大学に語学留学に行ったものの,結局日本人のコミュニティに引きこもってしまって,ちっとも英語力が身につかなかった!みたいな話と通じるところがあるのでしょうね。

学長の趣味で来年度は更に大陸の方を増やすそうですが,それならもっと語学支援のプログラムなどを充実させるべきだし,英語圏の方も同じくらい募集すべきと思います。

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まだまだあるけれど,長くなったのでおしまい。

iuも運良くアカポスに就職できたら,これらのことについてももっと真剣に考えていかないといけないのでしょうね。

むむ〜。

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